沖縄県内は、本島と離島で電波環境が大きく異なり、さらには基地や山地の影響も受けます。このガイドでは、沖縄を4つの主要エリアに分け、それぞれの電波受信の傾向、主要な中継局、そして最適なアンテナ選定のポイントを解説します。お住まいの地域の状況を把握し、失敗しないアンテナ選びにお役立てください。
1. エリア別受信傾向とアンテナ選定ガイド
🟩 南部エリア(那覇市・浦添市・糸満市・南風原町など)
- 🗼 主要中継局:那覇局(首里金城)からの送信が中心となります。
- 受信傾向:
- 市街地密集による建物の反射・遮蔽が多く、映像が乱れるマルチパス障害が発生しやすい。
- 那覇市首里や浦添市の丘陵地では、送信所との見通しが悪く、アンテナ角度がシビアになる。
- 推奨アンテナ:
- 高利得UHFアンテナ(20素子相当以上)+屋外ブースター
- 反射波を避けるため、指向性の強い八木式アンテナがデザインアンテナより有効な場合が多い。
- ベランダ設置の場合、南東方向(那覇局の方向)の開けた視界が必要です。
🟨 中部エリア(宜野湾市・北谷町・沖縄市・うるま市など)
- 🗼 主要中継局:読谷中継局、嘉手納中継局、金武中継局など、複数の送信所が混在します。
- 受信傾向:
- 米軍基地周辺では、軍用機の飛行や通信設備による一時的な混信や遮断が報告されています。
- 市街地密集と基地施設の影響で、アンテナレベルが非常に不安定な地域も存在します。
- 推奨アンテナ:
- 高感度UHFアンテナ+ノイズ耐性の高い屋外ブースター
- 基地周辺では、防衛省が設置した共同受信施設(CATV方式)や光回線テレビも安定受信の強力な選択肢となります。
- アンテナ設置時は、最も安定する中継局の方向へ正確に調整する必要があります。
🟦 北部エリア(名護市・本部町・国頭村など)
- 🗼 主要中継局:名護中継局、本部中継局、辺士名中継局などが主となります。
- 受信傾向:
- 山間部や海岸沿いでは、地形による遮蔽が多く、電波が届きにくい難視聴地域が点在します。
- 風雨・塩害によるアンテナの腐食や劣化も早く、耐候性が非常に重要です。
- 推奨アンテナ:
- 高利得八木式アンテナ(屋根上設置)+防水型ブースター
- 機材はステンレス製取付金具や耐塩害仕様のアンテナを選定することが必須です。
- 中継局との見通しが取れない場合は、光回線テレビやCATVも検討しましょう。
🟫 離島エリア(宮古島・石垣島・久米島など)
- 🗼 主要中継局:宮古局、石垣局、久米島局など、島ごとに独立した送信所が設置されています。
- 受信傾向:
- 台風・塩害・強風の影響が本島以上に大きく、アンテナの強固な固定と徹底した防水処理が必須です。
- 島によっては、地デジ・BS/CSともに共同受信施設が整備されている場合があります。
- 推奨アンテナ:
- 耐風・耐塩害仕様のBS/CS対応パラボラアンテナ(50cm以上が推奨)
- 地デジは高感度UHFアンテナ+屋外ブースター
- アンテナ設置は、南西方向の視界確保と、台風対策の強固な固定が最も重要です。
2. 沖縄県内 主要な中継局一覧(代表的な局を抜粋)
お住まいの地域で利用する中継局は、総務省の電波情報や専門業者の調査で特定できます。以下は、主要なエリアの代表的な中継局です。
- 那覇・南部エリアの基幹局:豊見城市(沖縄)、南城市(佐敷)、糸満市(大度)
- 中部エリアの主要局:浦添市(宜野湾)、沖縄市(胡屋)、うるま市(具志川)
- 北部エリアの主要局:名護市(東江)、国頭郡(本部)、国頭郡(辺土名)
- 離島エリアの主要局:宮古島市(平良)、石垣市(石垣)、島尻郡(久米島)
- その他:国頭郡(恩納)、中頭郡(北中城)
受信障害対策中継局(ギャップフィラー)について
沖縄県内には、主要な中継局の電波が地形的な要因や高層建築物の陰によって届きにくい地域(難視聴地域)が存在します。ご提示のリストにある「SHV」と付く中継局は、これらのピンポイントな受信障害を解消するために設置された受信障害対策中継局(ギャップフィラー)です。
これらの局は、周辺の限られたエリアを補完的にカバーしています。お住まいの地域が以下のリストに含まれる場合は、これらの局からの電波を受信することで、地デジが安定する可能性があります。
- 名護市:久志SHV、数久田SHV、大浦SHV
- うるま市:平敷屋SHV、池味SHV、宮城SHV
- 南城市:久手堅1SHV、久手堅2SHV、百名SHV
- 恩納村:恩納SHV、太田SHV、赤崎SHV、南恩納SHV、宇加地SHV、喜瀬武原SHV、瀬良垣1SHV、瀬良垣2SHV
- 宜野座村:潟原北SHV、潟原SHV、松田SHV、宜野座SHV、漢那SHV
- 糸満市:摩文仁SHV
- 与那原町:阿知利SHV
- 八重瀬町:仲座SHV
- 北中城村:安谷屋1SHV、安谷屋2SHV、安谷屋3SHV
3. まとめ:最適なアンテナは「電波測定」で決まる
地域別の傾向は参考になりますが、電波状況は隣家との距離や建物の高さによって大きく変わります。特に沖縄の複雑な環境下では、理論通りにいかないケースが多々あります。
本当に最適なアンテナを選び、安定した視聴を確保するためには、専門業者によるレベルチェッカーを用いた電波測定と、その結果に基づく正確な設置調整が不可欠です。