沖縄の電波特性とアンテナ設置の基本 | 水平/垂直偏波・中継局の特定

映りが悪いときには、近くの中継局に抜けて合わして受信レベルを調整する よくある質問と答え
「引越したらテレビの映りが不安定になった」「高性能アンテナに替えても、まだブロックノイズが出る」。沖縄でアンテナに関するお悩みが多いのは、沖縄県特有の複雑な地形と電波環境が原因です。本土とは異なり、沖縄では「適切な中継局の特定」「偏波(電波の向き)の判別」が成功の鍵を握ります。このページでは、沖縄の電波の特性を解説し、なぜ地域の専門業者による診断が必要なのかをご説明します。


I. 沖縄特有の電波問題:多数の中継局と垂直偏波

沖縄県は山や谷、くぼ地が多い地形のため、電波が遮られやすい地域が多数存在します。この問題を解決するために、主要な基幹局(豊見城市にある、那覇局)の他に、数多くの中継局が設置されています。

1. 複雑な中継局の特定が不可欠

北部・南部ともに山岳地帯や谷間が多く、テレビ塔からの電波が届きにくいエリアでは、最も近く、かつ適切な中継局の方向にアンテナを向けなければなりません。隣の中継局の電波でも、角度が少し違うだけで映り不良の原因になります。

2. 水平・垂直偏波の混在が難易度を上げる

沖縄県の地デジ放送は、基本的に水平偏波(アンテナを水平に設置)が主流ですが、沖縄の一部の難視聴対策用の中継局では、垂直偏波(アンテナを垂直に設置)で電波を飛ばしている場所があります。

【貴社の専門的な判断】
その地域で垂直偏波が基本であっても、水平に設置された他の中継局からの電波が混入しているケースがあります。

当社では、経験に基づき、水平と垂直の両方でレベルを測定し、最も安定する方向と偏波(設置角度)を決定しています。これが、沖縄の難易度の高いエリアで安定受信を実現する技術です。


II. エリア別:電波特性と設置の注意点

沖縄本島は、地域ごとに電波の特性が大きく異なります。

1. 本島北部(やんばる地域)

  • 特性: 山岳地帯が多く、電波は山に遮られて回折・散乱で減衰しやすいです。
  • 注意点: BS/CSアンテナは高仰角の信号を捉えやすいですが、雨雲通過時の「レインフェード」が頻発するため、機器選定と設置場所の工夫が必要です。

2. 本島中部(北谷〜沖縄市付近)

  • 特性: 平坦地に市街地が広がり、多重反射(マルチパス)による映像歪みのリスクがあります。
  • 注意点: 嘉手納基地周辺では、レーダー混信でUHF帯にノイズが入りやすいため、高度なノイズ対策が求められます。

3. 本島南部(那覇市〜南風原町)

  • 特性: 那覇市の高台エリアは、基幹局からの地デジ直進波が確保しやすく、比較的安定した受信が可能です。
  • 注意点: 海沿い低地は地デジの死角BS/CSの雨害が重なるため、機器選定と角度調整が特に重要です。

III. 難視聴対策中継局(SHV/ギャップフィラー)の役割

沖縄県内には、地形的な要因で主要な中継局の電波が届きにくい地域(難視聴地域)があり、そのために受信障害対策中継局(SHV/ギャップフィラー)が設置されています。

これらの局は、周辺の限られたエリアを補完的にカバーしています。お住まいの地域が以下のリストにある局に該当する場合、これらの局にアンテナを向けることで、地デジが安定する可能性があります。

エリア主なSHV中継局(一例)
名護市久志SHV、数久田SHV、大浦SHV
うるま市平敷屋SHV、池味SHV、宮城SHV
南城市久手堅1SHV、久手堅2SHV、百名SHV
恩納村恩納SHV、太田SHV、赤崎SHV など多数

平面式アンテナが不向きな理由

垂直偏波やSHVからの電波を受信する場合、八木アンテナでの対策を推奨します。なぜなら、垂直偏波用の平面式アンテナも存在しますが、元々が受信能力はそう高くないため、電波が低い難視聴地域では不向きだからです。


IV. まとめ(地域の特性に合わせた最適解を)

沖縄でのアンテナ設置は、ただアンテナを設置するだけでなく、地域の特性に合わせた中継局の特定、最適な偏波の判別、そしてノイズ対策がセットで必要です。

お住まいの地域で利用する中継局は、総務省の電波情報や、A-PAB「放送エリアのめやす」などで特定できますが、最終的な設置には、当社の経験とレベル測定技術が不可欠です。

「テレビ映りでお悩みなら、沖縄の電波特性を熟知した専門家である当社に、まずご相談ください。」